デンタルケア
わんちゃん、ねこちゃんのお口の中をのぞいたことはありますか?
口臭が気になったことはありませんか?
デンタルケアをきちんとできている方は少数だというデータがあります。
お口のトラブルは初期には目立つ症状が出ないため、ご家族の知らないうちに歯周病が進行していることがよくあります。
最近の調査で『3歳以上の犬・猫の80%が歯周病』という衝撃の調査結果が出ました。
わんちゃん、ねこちゃんの寿命が延びるとともに、高齢期の歯周病も大きな問題となってきています。
わんちゃん、ねこちゃんの歯のケアについてよくあるご質問をまとめてみました。
Q1.デンタルケアって何?
A.デンタルケアとは、簡単に言うと歯や歯茎(歯肉)を守るためのケアです。
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具体的には、歯ブラシを使った歯磨き、歯磨きガム、サプリメントなどで歯石の付着や歯周病にならないようにするために行うホームケアをデンタルケアと呼びます。
Q2.歯磨きの仕方は?
A.わんちゃん用の歯ブラシで磨いていきます。
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いきなり歯ブラシを使った歯磨きは難しいので、ステップアップしていきましょう。
ステップ1 まずは口に触れることから始めましょう。ご褒美を上手く使うと効果的です。
ステップ2 触れることができたら、指やガーゼでやさしく磨いてみましょう。
ステップ3 歯ブラシを使って歯磨きをしてみましょう。
ステップ4 口を開けて歯の内側などの難しい部位を磨いてみましょう★美味しい歯磨きジェルやペーストを使うとより効果的です。病院に各種用意してあります。
★当院の受付にさらに詳しいステップアップシートがあります。歯磨きを始めたい方はお気軽にご利用ください。
Q3.歯磨きガムだけでも大丈夫?
A.歯磨きガムだけでは、十分に歯垢を除去できません。
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デンタルケアの基本は、歯ブラシを使った歯磨きです。しっかり噛んでもらえれば歯垢を落とすことは可能ですが、歯の谷間の部分や歯の細かい隙間などは十分に歯垢落とすことはできません。デンタルケアを楽しみながらできるように補助的に使用してもらうものとして歯磨きガムがあります。あくまでも補助的なものなので、「歯磨きガムを食べていれば大丈夫」とは思わないでくださいね。歯磨きガムと歯ブラシを組み合わせて楽しくケアしていきましょう。
Q4.歯周病が進むとどうなるの?
A.様々な病気を引き起こします。
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「歯周病」は、「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられ、歯の周りの炎症を総称して「歯周病」と言います。「歯肉炎」は歯肉の軽度の炎症、「歯周炎」は顎の骨や歯根膜に及ぶ炎症です。
「歯周病」の症状は、
・口臭がある。
・歯石が付着している。
・歯茎に赤みや腫れがある。
・歯茎から出血がある。
・歯がグラグラしている。歯が抜けた。
・食べづらそうにしている。など、重症化してくると歯根部が化膿して頬に穴が開いたり、顎の骨が折れたりします。また、歯周病により口腔内から全身に細菌が回り、肝臓、腎臓、心臓にも影響が出ることが知られています。命に関わってくる病気ですので、デンタルケアを習慣にして、歯周病にならないように予防していきましょう!
Q5.歯石はどうやって除去するの?
A.全身麻酔をかけて、専用の機械を使って歯石除去をしていきます。
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歯石除去を全身麻酔をかけてする理由は、全身麻酔をかけることで口腔内観察を十分にできる、処置を安全に行える、処置の効果が十分得られるということです。
安全のためには麻酔が必要です。歯周病の治療および予防が目的であるため、歯の表面だけではなく、歯間や歯周ポケットの隙間まで観察や治療を行う必要があります。また、表面だけではなく、歯の裏側も同じように汚れているため、しっかりと口を開けて、内部まで精査する必要があります。無麻酔では、このような十分な処置は不可能です。1回の全身麻酔時間は、2〜3時間程度かかるため術前検査を十分に行い、麻酔リスクの評価が非常に重要になってきます。
Q6.無麻酔の歯石とりはやってますか?
A.当院では実施していません。
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最近では、無麻酔での歯科処置をするという獣医師ではない方の施術が目につきます。歯の表面の歯石を取って見かけ上歯の表面がきれいに見えても全く意味がなく、歯周病の治療をしないと何の意味もありません。Q5でも説明しましたが、全身麻酔をかけないと十分な診断と治療はできません。無麻酔の処置は、歯や歯茎を傷つけてしまう恐れ、最悪顎骨折を引き起こす恐れがあります。非常に危険です。絶対にお勧めしません。
無麻酔の歯石とりの危険性について、アメリカ獣医歯科学会や日本小動物歯科研究会という歯科の専門分野を研究するグループが書いてる資料も参考にしてみてください。
Q7.歯科処置(歯石除去+抜歯)の価格を教えてください。
A.歯周病の程度、抜歯の有無/本数/方法などによって価格が変わってきます。
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歯科処置ですが、先述したとおり全身麻酔下で実施します。
歯石除去が目的ではなく、歯周病予防のための歯科処置を目的としております。1回の全身麻酔時間は、2〜3時間程度かかるため術前検査を十分に行い、麻酔リスクを評価することが非常に重要になってきます。
麻酔をかけて口腔内観察をして診断と治療を同時に行います。通常の治療までのプロセスは、診断した後の治療となりますが、歯科処置の場合は診断と治療が同時となり、ここが他と大きく異なる点です。
軽度の歯石付着であれば歯石除去のみとなりますが、重度の場合、歯周病予防のため抜歯が必要となる可能性があります。動揺している歯や破折している歯など温存が難しいと判断したら、抜歯します。
基本的には、一度の治療で歯石除去から抜歯まで全てを行います。歯周病の程度、抜歯の有無/本数/方法などによって価格が変わってきますが、概ね5〜10万円程度かかります。
勘違いをされている方が多いですが、治療後のデンタルケアを疎かにしているとすぐ元の状態に戻ってしまします。歯ブラシを使った歯磨きが、非常に重要です。
デンタルケアの重要性がわかってもらえましたか?従来は歯周病が重度になってから治療していましたが、最近では歯周病予防のために早めに麻酔をかけて口腔内ケアを行う予防医療が主流になってきています。
歯周病は、お口だけの問題だけではなく、全身に悪影響を及ぼす怖い病気です。
『口臭が気になる』『歯石はついてる?』など気になっている方は、是非一度お口のチェックをしに来てください。この機会に歯周病治療を始めましょう!